
生成AIがコンテンツ生成や情報検索から、自律的にタスクを実行するエージェント型AIへと進化する中、企業のAI導入における課題は、単一ツールの活用にとどまらず、既存データの統合、業務フローの再構築、組織ガバナンスへと広がっています。BIG DATA(大數據股份有限公司、本社:台湾)はこのほど、デロイト台湾(勤業眾信聯合會計師事務所)と共同で「人とAIの協働とAIガバナンス」セミナーを開催しました。NVIDIAの担当者および国立台北科技大学管理学院院長の范書愷氏を招き、AIエージェントの技術発展、企業での実践的活用、リスク管理までを取り上げ、効率・安全性・ガバナンスを両立するAI運用モデルを企業がいかに構築し、AIを概念実証(PoC)から実用段階へと進めていくかを議論しました。BIG DATA 最高執行責任者(COO)兼スポークスパーソンの蔣志薇は、AI導入のゴールはAIツールが一つ増えることではなく、AIを組織の能力へと真に転換することだと述べています。AIが社内ナレッジ、業務ロジック、既存システムと結びつかなければ、中核業務に入り込むことは難しく、企業に必要なのは、組織のナレッジを理解し、権限や業務規定に従い、人の監督のもとでタスクの遂行を支援するインテリジェントなパートナーであり、それこそが『KEYLM』開発の核心だとしています。
企業のAIはツールから「第二の頭脳」へ 『KEYLM』が知識とワークフローの統合を支援
社内の情報分散、知識継承の難しさ、部門横断の協働といった課題に対し、BIG DATAは自社開発の企業向けナレッジAIエージェントプラットフォーム『KEYLM』を通じて、文書、データベース、各種業務システムに散在する情報を統合し、AIが理解・活用できる企業の知識基盤の構築を支援しています。公開情報を主な知識源とする汎用AIアプリケーションに比べ、『KEYLM』は企業固有のデータ、業務シーン、権限管理を重視。従業員は組織内部の知識に基づいて情報検索、内容の整理、業務タスクの処理を行え、情報の分散や知識格差による業務負担を軽減できます。
技術面では、BIG DATAは繁体字中国語の意味理解能力を継続的に深化。自社開発言語モデル「BIG10」と関連する意味解析技術を通じて、台湾の現地用語や言い回し、業界の専門用語、企業ナレッジに対するAIの理解を強化しています。あわせて、企業ごとのデータセキュリティや導入形態のニーズに応じた、AI活用アーキテクチャを設計しています。『KEYLM』はこのほど、「WITSA Global AI Awards 2026」の「The WITSA Global AI Award for Entrepreneurship」も受賞しており、企業向けAI技術の研究開発と活用におけるBIGDATAの成果を国際的に示しています。
BIG DATA イノベーションマーケティング部ディレクターの袁鈺婷は、さまざまな業界の企業とのAIワークショップ診断やヒアリングを通じて、多くの企業は情報や経験に不足があるわけではなく、真の課題はそうしたナレッジが異なる文書やシステム、さらにはベテラン社員の頭の中に分散し、検索・統合・継承が難しいと述べています。一方で、すでにAIツールを導入しながらも活用シーンを明確に定義できず、技術と実際の業務ニーズにギャップが生じている企業もあるとしています。
袁鈺婷はさらに、企業は「業務の頻度」と「複雑さ」の2つの観点からニーズを棚卸しし、高頻度で標準化されており、成果を検証しやすい業務(データ検索、議事録の整理、定例レポートの作成など)から優先的に着手して導入経験を積み、その後、システムを跨ぐ連携や専門的判断が必要な業務フローへ広げていくのが望ましいとしています。BIG DATAはすでに医療、文化・クリエイティブ産業など多様な業界で、業務プロセスの最適化、企業ナレッジの管理、デジタル資産の活用の検討を支援しており、単にAIツールを増やすのではなく、実際の業務ニーズに基づいてAIソリューションを設計しています。
ガバナンスファースト 専門家がエージェンティック・エンタープライズとエージェントの品質エンジニアリングを解説
AIの導入はIT部門だけの技術プロジェクトではなく、経営層による組織変革への支持、従業員の能力開発、部門横断の協働も伴います。企業はまず、ビジネス価値があり実行しやすい活用シーンを棚卸しして初期成果と社内の合意を形成したうえで、その後段階的に適用範囲を広げることで、ガバナンス体制や組織の準備不足によってAIプロジェクトが概念実証の段階にとどまることを避ける必要があります。
デロイト台湾 執行副社長の江榮倫氏は、AgenticAIの急速な発展により、企業は人とAIエージェントが共に協働する新たな運営モデルへと進みつつあり、今後の競争優位はAIの技術力だけでなく、イノベーション、ガバナンス、信頼を兼ね備えた経営管理の仕組みを企業が再構築できるかにかかっていると指摘しました。コンサルティング実務の観点からは、企業がAI活用を進める際はガバナンスの枠組みも同時に整備すべきであり、その範囲は戦略目標、権限と責任の分担、リスク評価、有効性のモニタリング、意思決定のトレーサビリティ、法令遵守管理にまで及びます。また、人とAIの協働の仕組みを通じて、重要な意思決定には適切な人による監督と専門的判断を確保する必要があるとしています。AIガバナンスの考え方をAIライフサイクル管理に組み込んではじめて、運営・コンプライアンス上のリスクを効果的に低減でき、AIを効率化のツールから、企業変革と持続的成長を牽引する重要なパートナーへと発展させることができると述べました。
国立台北科技大学管理学院院長の范書愷氏は、エージェント品質エンジニアリングの観点から、AIの発展はすでに「中盤戦」に入っており、重要なのはAIを画面の外に出し、企業の実際のシステムと接続させることだと説明しました。企業には、データ、数学的関係、学習ループ、汎化能力、演算アーキテクチャという5つの第一原理に立ち返って実装を評価するように提案。さらに、PDCA、DMAIC、ポカヨケといった既存の品質管理の仕組みを、エージェント型ワークフローの土台として再構築すべきだとしています。技術面では、教師ありファインチューニング(SFT)で中核の業務フローを処理し、検索拡張生成(RAG)で動的ナレッジを支え、Function CallingでMES、ERPなどの既存システムと連携。ガバナンス面ではLLM、エージェント、監視用エージェント、人間を組み合わせた「4つの目」による監視体制を構築するとしています。
このほか、NVIDIAの専門家代表もセミナーでAIエージェントの技術トレンドを共有しました。システムを跨ぐタスク実行、演算性能、コスト管理におけるAIエージェントの発展の方向性に加え、企業が自律型AIシステムを導入する際に求められる実行環境の分離、権限管理、情報セキュリティについて説明しました。
AIエージェントが企業の中核業務に入り込むにつれ、競争の焦点はモデルの能力から、組織ナレッジの活用とガバナンス体制の整備へと移っていきます。BIG DATAは今後も『KEYLM』による企業向けAI活用を深化させ、業界パートナーとともに、企業が自社の運営状況に合ったAI能力を構築できるよう支援していきます。







